横型エンジン(モンキー・ゴリラ、およびエイプ/XRの横型互換パーツを使う一部カスタム)向けのボアアップは、ノーマルクランクシャフト(ストローク41.4mm)のままボア径だけを拡大する75cc・88ccと、クランクシャフト自体をロングストローク品に交換して100ccを超える106cc・124ccとに大別される。
この4段階は「シリンダーだけの手軽な変更」から「クランクケース加工まで踏み込むフルチューン」までの難易度・費用のグラデーションになっている。
75ccはボア径48mm×ストローク41.4mm(ノーマル)。
ノーマルシリンダーヘッドをそのまま流用でき、ピストンは鋳造。
ボアアップキットの中ではもっとも低コストな部類で、低中速域のトルク・パワーアップを狙う入門的な選択肢とされる。
88ccはボア径52mm×ストローク41.4mm(ノーマル)。
ピストンは鋳造。
ノーマルクランクシャフトのままボアアップできる範囲では最大排気量帯にあたり、キタコ・デイトナ・シフトアップなど複数メーカーがラインナップする定番排気量。
圧縮比は製品によって幅があり、レギュラーガソリン仕様で10.5:1程度に抑えたエコタイプもあれば、12.4:1まで高めたハイコンプ仕様もある。
106ccはSP武川の「SCUT(スカット)106」が代表的な製品。
他メーカーがノーマルクランクシャフトでは88ccを上限とするのに対し、スカット106はノーマルクランクシャフトを維持したまま100ccを超える排気量まで対応できる点が独自の強みとされる。
クランク交換が不要な分、106cc化の中では比較的手を出しやすい位置づけになる。
124ccはロングストロークのクランクシャフトへの交換(メーカーにより武川50mm・キタコ51mm・デイトナ/シフトアップ52mmとストローク量が異なる)と大径ピストンを組み合わせて到達する、横型エンジンのSOHC構成における実用上の上限排気量帯。
クランクケース側もリブ干渉部の削り込みなど加工が必要になることが多く、単体のシリンダー交換では完結しない、フルチューンの領域に踏み込むボアアップとして扱われる。
武川の4バルブヘッド「スーパーヘッド4V+R」も124ccのコンプリートエンジンとして展開されており、124cc化とヘッド強化を同時に行う選択肢もある。
目的:排気量アップによるトルク・出力向上。手軽な75ccからクランクケース加工を要するフルチューン124ccまで段階的に選べる
信頼性メモ:ロングクランクのストローク量はメーカーごとに異なり「これが標準」という値は無い。124ccという排気量は組み合わせるボア径次第で複数の経路があり得るため、キット選定時は必ず個別製品のボア径・ストローク・付属ピストンの仕様を確認する必要がある。